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初診日の証明とは? なぜ重要なのか、証明できない場合の対処法

はじめに

障害年金の申請において、最も重要な要素のひとつが「初診日」の特定です。初診日とは、「障害の原因となった病気やけがで初めて医療機関を受診した日」を指し、この日にどの年金制度へ加入していたかにより、受給できる障害年金の種類や等級に影響を及ぼしたり、また初診日は障害認定日の起点となるなど、申請内容全体に深く関係してきます。

初診日は、年金制度の適用範囲、受給資格、障害認定日や遡及請求の可否などに直結する極めて重要な情報であり、正確に証明する必要があります。

本コラムでは、なぜ初診日の証明がそれほどまでに重要視されるのか、そして初診日を証明する方法、証明が困難な場合の対応策や書類の整え方について詳しく解説します。

なぜ「初診日」がそれほど重要なのか?

障害年金は、初診日における年金の加入状況によって、どの制度から年金が支給されるかが決定されます。たとえば、初診日が国民年金の加入期間中であれば「障害基礎年金」の対象となり、厚生年金の加入中であれば「障害厚生年金」の対象となります。この区分によって、受け取れる年金額や加算対象の有無などに大きな違いが生まれます。

また、障害年金の支給要件として定められている「障害認定日」は、原則として、初診日から1年6か月を経過した日です。このため、初診日がずれると、障害認定日もずれてしまい、申請時期や遡及請求の可否、さらには認定される等級にまで影響が及ぶ可能性があります。

このように、初診日は障害年金申請における出発点であり、信頼性の高い証明が必要とされるのです。

初診日を証明する方法とは?

初診日を証明するための最も基本的かつ正式な手段が、「受診状況等証明書」の取得です。これは、初診時の医療機関に依頼して作成してもらう専用の書類であり、日本年金機構が用意するフォーマットに沿って記載されます。証明書には次のような事項が記載されます:

  • 初めて受診した日(=初診日)
  • 傷病名
  • 医療機関の名称・所在地
  • 現在の診療継続状況

この「受診状況等証明書」が提出されることで、初診日が客観的かつ公式に裏付けられるため、申請書類としての信頼性が大きく向上します。

受診状況等証明書が取得できない場合は?

ところが、初診が10年以上も前だったり、医療機関がすでに閉院・廃業していたりするケースでは、受診状況等証明書が取得できない場合があります。カルテが既に廃棄されている、担当医が不在であるなどの理由で、証明書の発行が不可能となるのです。

そのような場合には、代替手段として「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出することができます。この申立書は、初診時の医療機関から証明書が取れない理由を明記し、申請者自身が当時の状況(受診日、医療機関名、症状の経過など)を詳しく説明する形式です。

ただし、申立書単体では初診日の証明としては不十分とされるケースもあるため、他の添付書類や証明資料によって補完する必要があります。

添付書類として有効なものとは?

「受診状況等証明書が添付できない申立書」を補強するためには、初診日を裏付ける複数の資料を準備することが重要です。以下のような添付書類が有効とされています:

  • 健康保険のレセプト(診療報酬明細書)
  • 通院時の領収書や予約票
  • 診察券(特に発行日が記載されているもの)
  • 病気に関する日記やメモ、母子手帳の記載
  • 就労先からの休職届・診断書のコピーなど

これらの書類は、初診日を客観的に立証する資料として、審査側に強い説得力を与える可能性があります。

「第三者証明」による補強とその注意点

添付書類が十分にそろわない場合、補強手段として有効なのが「第三者証明」です。これは、申請者の初診当時の状況を知る人物が、受診日や通院状況について証言し、証明文書として提出する方法です。たとえば以下のような証言が考えられます:

  • 「職場の同僚として、○○病院に通っていたのを知っている」
  • 「友人として、受診日に付き添った記憶がある」
  • 「勤務先の上司として、休職手続きの際に診断書を受け取った」

ただし、ここで注意すべき重要な点があります。それは、「第三者証明に用いる人物が民法上の3親等以内の親族である場合、第三者とはみなされない可能性がある」という点です。3親等以内の親族とは、配偶者、両親、子、祖父母、孫、兄弟姉妹、おじ・おば、おい・めいなどが含まれます。

このため、親や配偶者などの証明は、どうしても身内の証言としての信頼性に限界があると判断される傾向があり、年金機構においても「第三者による証明」としては形式的に認められないケースがあるのです。第三者証明を準備する際は、可能な限り3親等を超える人物(友人、知人、勤務先関係者など)に依頼することが望ましいとされています。

もちろん、親族の証明がまったく無意味というわけではなく、他の書類と組み合わせて提出することで、参考資料として扱われることもあります。ただし、その証明だけに依拠しないよう、複数の客観的資料を揃える努力が必要です。

まとめ

障害年金の申請において、「初診日」は制度上・実務上ともに極めて重要な意味を持つ要素です。その証明にはまず「受診状況等証明書」の取得を目指し、それが不可能な場合には「受診状況等証明書が添付できない申立書」、さらに各種添付書類や第三者証明によって申立内容を補強することが求められます。

特に「第三者証明」を活用する際は、3親等以内の親族は原則として第三者とは認められないという点に注意し、適切な証明者を選ぶことがポイントです。

初診日の証明に行き詰まった場合は、社会保険労務士などの専門家に相談しながら、可能な限り多角的に情報を集めて準備を進めることが、障害年金の受給につながる第一歩となります。

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